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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

政党助成金違憲訴訟―(7)控訴審判決でる!

T・O記

 2005年1月27日、政党助成金違憲訴訟の控訴審判決がありました。50ほどの傍聴席は、原告・支援者たちですべて埋まりました。

 判決は、控訴人らの控訴をすべて棄却しました。そして判決の骨子として、政党助成法および政党交付金の交付は、控訴人らの思想良心を侵害せず、政治的自己決定権を侵害するものではない、という結論部分のみを述べるにとどまりました。その判決を聞いて、傍聴人からは、「不当判決だ!」などといった声もあがりました。

 判決の内容ですが、争点を(1)政党助成法は憲法19条に違反するか、(2)政党助成法の仕組みは「国家の中立性原則」に反するか、(3)南九州税理士会判決の判断基準が本件に適用されるか、という3点に整理したうえで、次のように判断しました。

 (1)については、まず政党交付金の交付の仕組みについて、国会の予算審議等を経て決定されるものであって、政党助成法は控訴人らのいうような「自動流出装置」ではないとし、さらに税金の賦課徴収と、国費の支出は、法的根拠および手続を異にするものであって、賦課徴収された税金が、直ちに政党交付金となるわけではなく、特定の政党への寄付を強請されているとはいえないとして、思想良心の自由ないし政治的自己決定権を侵害するものではない、としました。

 (2)については、控訴人らの主張が明確ではないとしつつ、「国家は個人の内心、すなわち個人の価値判断には無干渉・中立でなければならぬとの原理」などの主張が「国家の中立性」の内容であって、政党助成法の制定およびこれに基づく政党交付金の交付が、あるべき政治制度などについての控訴人らの意見に反するとしても、控訴人らに対して、政党の支持/不支持や、政党に寄付をする/しないなどについて、国家が介入するようなものではないから、控訴人らの権利を直接侵害するものではない、としました。

 (3)については、南九州税理士会判決は税理士法でその目的が法定されている団体である税理士会についての判決であるのに対し、本件は、憲法上の制約があるとはいえ、きわめて広汎な権能を有する国という特別な団体についてのものであって、事案を異にするとしました。

 続いて行われた集会では、弁護団が判決の批判をしました。(1)については、人が右手でとって左手で渡すのと同じように、国が税金を徴収して政党に交付しているのであるから、これを別のものとして扱うことは不当である、との批判がなされました。(3)についても、南九州税理士会訴訟との違いばかりを強調して、類似点についての検討がなされていないとか、そもそも南九州税理士会判決の意義を理解していないなどという批判がなされました。

 本判決は、人権の中でもとりわけ重要なものである「思想・良心の自由」について、控訴人側が提出した学者証人の意見書などに反論することなく、その侵害はないと判示したことや、「民主主義のコスト」論に関する諸論点について何ら応答しなかったことをみても、控訴人らの主張・立証に対して、真摯に向き合ったとはいえないように思われます。

 この判決に対して、原告団・弁護団が上告するかどうかは未定ですが、今後の動きについては引き続き紹介していこうと思います。


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