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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

戦後補償裁判――(12)強制連行基金案とは

執筆日:2004年6月14日
I.M.記

 2004年5月24日、強制連行福岡訴訟高裁判決(判決の内容などについては、戦後補償裁判9をご覧ください)が出されました。その先週、この強制連行を担当している弁護団は、裁判の原告となっている人たち以外の強制連行・強制労働被害者も対象にした基金案の構想を発表しました。ここでは、その概要を紹介します。

基金案の目的
 基金案は、先の大戦中に約4万人の中国人の人たちが日本へと強制連行され、強制労働の結果、約7000人の人たちが死亡したという事実をふまえて、次のような目的を掲げています。

「私たちは、この中国人強制連行・強制労働の歴史的事実を直視し、被害者及びその遺族の人間としての尊厳が回復されることを願い、被害者及びその遺族に対し謝罪し補償するとともに、その歴史的教訓を後の世代に継承することによって日中両国民の信頼関係を醸成し、未来にわたって日中両国間の恒久平和を構築するために本基金を設置する」

基金案の内容
 基金案は、次のような内容を定めています。
@強制連行・強制労働被害者とその遺族に補償金・弔慰金を支払う。
A補償金・弔慰金の財源は、国と強制連行にかかわった企業から拠出される。
B日中共同からなる管理委員会と運営委員会を設置し、被害者の特定や補償金の支払いなどを行う
C強制連行・強制労働の実態を調査・研究・発表する事業を行う
D日中両国民の相互交流・対話を通じて恒久平和を確立するための事業を行う

基金案の特徴
 強制連行基金案は、最近の強制連行訴訟の相次ぐ勝訴や被害者の高齢化と、裁判での勝訴だけでは救済できない原告以外の被害者の多さなどもふまえて、来年の戦後60年を控え、早急な立法的解決を目指したものです。
 基金案では、補償金や弔慰金の財源として、強制連行や強制労働を実施した国や企業による拠出を予定しています。戦中の強制労働被害者に対する未払い賃金は、現在の価値に換算すると約800億円とされています。また、戦後、強制労働被害者を使用していた企業に対しては補償金が国から支払われていますが、その額は現在の価値に換算すると約600億円に達します。基金案では、この金額を1つの基準として、国や企業の拠出額を決めることを提案しています。
 ドイツでは、すでに2000年に強制労働被害者に対する「『記憶・責任・未来』基金」を設置し、「真摯な謝罪」を表明するとともに、約560億円の補償金の支出を決定しました。今回の基金案は、このドイツの基金を参考にしたものです。
 今後、基金案をたたき台の1つとして、さらに議論を深めていくことが求められています。その際、名簿が残っており被害者が特定されている中国人以外の人たちに対する基金の応用をどのようにするか、金額を具体的にどのように決定するのかといったことが論点となります。
 提案した弁護団では、今後、各界の様々な人たちと意見交換しながら、基金構想案をさらによりよいものにしていく方針でいます。

基金案構想の全文は、「戦争責任dotcom.」でご覧になれます。
http://www.sengo-sekinin.com/


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