法学館憲法研究所は、憲法を系統的に研究し、個人の尊厳の実現をめざす非政府組織としての自由な研究機関です

法学館憲法研究所

Mail info@jicl.jp
 
今週の一言
憲法情報Now
 憲法をめぐる動向
 イベント情報
 憲法関連裁判情報
 シネマ・DE・憲法
 憲法関連書籍・論文
 ■今日は何の日?
憲法Voice
研究所・客員研究員紹介
中高生のための憲法教室

憲法文献データベース
日本国憲法全文
リンク集
 
事務局よりお知らせ
賛助会員案内
メールマガジン
ご意見フォーム
サイトマップ

憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

戦後補償裁判――(19)遺棄毒ガス・砲弾訴訟 その5

T.O.記

2005年3月7日午前10時から、東京高裁810号法廷で、遺棄毒ガス・砲弾訴訟第一次訴訟控訴審の口頭弁論期日が開かれました。朝早かったためか、傍聴人は20人ほどで、やや少なめでした。

この裁判は2003年9月29日に東京地裁で勝訴し、国側が控訴したため、国側が控訴人、被害者である原告側が被控訴人となっています。この裁判については戦後補償裁判(3)、(4)、(14)、(16)もご覧下さい。

この日は、被控訴人側が証人として、敗戦時に、ハルピン市郊外で、軍の命令を受けて毒ガス弾を井戸に捨てたとする元軍属の男性を証人として申請しました。

これに対して控訴人側代理人は、「本件で問題となっている毒ガス弾を捨てたわけではないから、本件とは無関係である」として、証人申請を斥けるよう主張しました。ところが裁判長が、「本件そのものズバリの証人が簡単に見つかるわけがないでしょう」と、控訴人側代理人をたしなめていました。

続いて、被控訴人側代理人が、この男性の証人としての必要性を主張しました。彼は、毒ガスの遺棄について、控訴人側が軍の組織的関与を否定しているのに対して、それを立証することができる、というわけです。彼は敗戦時、ソ連との国境で軍属として働いていました。そして上官の命令を受け、毒ガス弾を井戸に投げ捨てたと言います。シベリアに抑留され帰国した後、ずっとこのことは忘れていました。ところが2003年8月にチチハルで大規模な遺棄毒ガス弾事故が起こり、自分のしたことを思い出したといいます。それから毎日、良心の呵責にさいなまれ、中国で毒ガス弾事故がないか、新聞をくまなくチェックしているそうです。そして被控訴人側代理人は、彼が証言すると決意するに至った心情にもふれ、その重みも汲んでほしいと述べて、彼を証人として採用するよう強く求めました。

裁判長は、もう一件の訴訟で別の証人Yが同様の証言をしていることに触れ、その証人Yについての採用をする予定は今のところはないと言うにとどめ(被控訴人側はX氏のほか、Y氏、Z氏と3名の証人申請をしています)、X氏の証人採用については含みを持たせています。また控訴人側代理人の主張に対してたしなめたこともあり、証人採用の期待が高まっています。また、この証人申請については、朝日新聞がこの日の夕刊で報じるなど、メディアの注目度も高いものがあります。

5月9日午前11時からの次回期日において、証人の採否が決定される予定です。興味のある方は傍聴に行かれてはどうでしょうか。

<<(18)へ

 
[今週の一言][憲法情報Now][中高生のための憲法教室][憲法文献データベース][事務局からのお知らせ]
[トップページ]