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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

戦後補償裁判――(6)戦後補償裁判の動向

I.M.記

 戦後補償裁判は、2004年3月現在、主として中国人の被害者の人たちを原告として、全国各地の裁判所に係属していますが、今年から来年にかけては、判決が各地の裁判所で続々と出される予定になっています。

 まず、強制連行・強制労働事件ですが、3月23日には札幌地裁判決が、3月26日には新潟地裁判決が出されます。5月には、24日に一審で企業に対しては勝訴した福岡訴訟の高裁判決が予定されています。強制連行・強制労働事件では、この間、2003年に京都・大江山訴訟や強制連行第二次訴訟(東京)などで、国家無答責や時効・除斥の問題について、国家無答責の原則の適用を排斥したり、時効・除斥の適用を制限する判決が出されています。こうした流れが、3月以降の判決ではどのように判断されるのか、法的争点の観点からも注目されるところです。
 
 また、今年の後半には、中国・山西省「慰安婦」第一次および第二次訴訟が、それぞれ結審し、判決を迎えることになっています。いわゆる「慰安婦」訴訟については、韓国人の人たちが原告となった関釜訴訟の一審判決以来、原告の勝訴判決は出されていません。多くの事件は、その後、最高裁で棄却されています。もっとも、結論としては原告敗訴の判決においても、原告の被害事実が認定される場合が少なくないことには注意が必要です。その意味で、被害が存在しないのではなく、法的責任において国家無答責や時効・除斥を根拠として原告の敗訴が言い渡されているのが現状です。

 さらに、中国人が原告となり国を訴えたリーディングケースでもある731部隊・南京虐殺・無差別爆撃訴訟も、今年はいよいよ大詰めになります。731部隊・南京虐殺・無差別爆撃訴訟については、今年に入ってから裁判長が変更になりました。原告側としては新たな立証材料の入手などもあって、最後の立証を行う方針でいますが、裁判所としては裁判長変更前から高裁段階でのさらなる立証には消極的でした。こうした姿勢がどうなるのか、次回期日以降の焦点となっています。次回期日は、3月25日(木)の14時から東京高裁817号法廷で行われます。法廷終了後には、報告集会も開催される予定です。関心のある方は、傍聴に足を運ばれてみるのもよいのではと思います。

 中国人の人たちを原告とする一連の戦後補償裁判が提訴されてから今年で9年目です。多くの事件では、いよいよ今年から来年にかけて山場を迎えることになりました。来年の2005年は戦後60周年でもあります。戦後補償裁判の行方は、イラクにも自衛隊が派遣される今日、「古くて新しい問題」を私たちに投げかけているように思われます。

(法学館LawJournal2004年3月4日配信号より転載)

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