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憲法情報Now<憲法関連裁判情報>

 

靖国神社公式参拝違憲訴訟(1)

弁護士  笹山 尚人さん(第2東京弁護士会)

1 靖国神社公式参拝違憲訴訟の概要

(1)2001年8月13日、小泉純一郎首相は、「内閣総理大臣 小泉純一郎」と記帳の上、靖国神社本殿に昇殿、深く一礼して参拝を行いました。また、石原慎太郎東京都知事も、同年8月15日、公式参拝であることを公言しながら、やはり靖国神社に参拝を行いました。
(2)小泉首相、石原都知事のこの靖国神社公式参拝は、憲法20条が定める政教分離原則に違反し、また、平和を願う遺族や、市民、また様々な宗教者の願いをふみにじるものです。そこで、原告ら1057名が、国、東京都、小泉氏個人と、石原氏個人を被告として、参拝の違憲確認、公人が靖国神社に参拝することを禁止する立法を国が怠ったことの違憲確認、参拝の差し止め及び原告1人あたり3万円の損害賠償の支払いを求めて、2001年12月7日に東京地裁に提訴したのが、靖国神社公式参拝違憲訴訟・東京です。
 同種訴訟は、千葉、大阪、愛媛、福岡、沖縄の5地裁でも提訴されています。
(3)その後2002年7月9日に第2次提訴を行い、併合され、訴訟は現在、第8回口頭弁論まで終了し、あと2回主張整理を行った上、来年春ころには証人尋問に入るとの進行になっています。

2 なぜこの裁判に訴えたか

 小泉氏が首相になって以来、二度と戦争をしないということを誓ったはずの憲法の改変の危機は、加速度的に高まっています。アフガンやイラクに対する国際法違反の戦争に対する支援を続け、ついには改憲案の具体的スケジュールまで飛び出してきています。海外で自衛隊が活動し、そこでもし「戦死者」が出た場合、その死者をどうするのか。必ず、靖国神社に合祀したいという話が出るはずです。靖国神社は、天皇の軍人として戦死を遂げた者を神として祀り、その働きと死を褒め称えるための神社でした。この神社の性格は、戦後も一貫して変わっていません。嘘だと思うなら神社に1度足を運んで見てください。この神社が、いかに戦争を肯定し、褒め称えているかが一目で分かります。
 小泉氏らの参拝は「戦死者」の現実的可能性を考えたものであり、この国を再び戦争をする国へと導く暴挙です。とりわけ石原東京都知事の言動は、いささか常軌を逸していると思いませんか。「憲法99条違反で結構」などと、現職の知事が発言していいのでしょうか?原告らは、憲法をふみにじる行為を許すことはできないと、裁判に踏み切ったのです。

3 この訴訟の面白さ

 私たち弁護団にとっては、この訴訟の面白さを語ればとても頁が足りませんが、あえて2つだけあげると、1つは、自衛官合祀訴訟への挑戦であるという点です。原告の中には、在韓の韓国人原告が700名以上います。これらの原告の二度と繰り返して欲しくないという思いは、極めて強烈です。「損害がない」などとは、今回は言わせないという思いで訴訟に取り組んでいます。
 また、今1つには、一から作り上げる面白さです。この事件の弁護団は、弁護士登録1年目から3年目の若い弁護士が中心を担っています。政教分離訴訟の築き上げてきた財産を受け継ぎながら、私たち自身が自分の頭で考え、悩み、議論しながら作り上げていく。そういう訴訟運営をすることが、私たち自身にとってはかけがえのないものになっています。
 私たちは、中身のある判決を得るべく、現在も奮闘中です。興味のある方には、ぜひ傍聴して下さい。

(法学館LawJournal2003年10月28日配信号より転載)

 

 
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