• HOME
  • 今週の一言
  • 浦部法穂の憲法雑記帳
  • 憲法関連論文・書籍情報
  • シネマde憲法
  • 憲法をめぐる動向
  • 事務局からのご案内
  • 研究所紹介
  • 賛助会員募集
  • プライバシーポリシー
憲法関連書籍・文献紹介
特集『改正少年法の課題』
T. M



 2021年5月、「少年法等の一部を改正する法律案」が可決、成立し、少年法が改正されたことは記憶に新しいと思います。従来、日本の少年法は20歳未満の者を「少年」として、家庭裁判所が調査や審判を実施したうえ、保護処分などの形で少年法・刑事法上の特別な扱いを行ってきました。他方、新たな改正法は18歳及び19歳の者を「特定少年」と位置付け、少年法上の「少年」とする一方、幅広い領域で当該特定少年に関する規定を設けています。本特集は改正法において18歳及び19歳の者たちの法的立場が大きく変化したことを受け、特定少年がいかなる観念のもとに置かれているかという点、さらに改正法がもたらす広範囲に渡る実務運用上(家裁送致から調査・審判、保護処分、刑事手続、刑事処分など)の問題点、そして改正法が予定する5年後の検討・見直しにおいて課題となりうるべき点を抽出する、以上の観点から当該改正法を検討するという共通の問題意識に立脚しています。
 各論考においては、改正法が成立するまでの詳細な経緯をトレースしたうえ国会で生じた争点の洗い出し・評価するもの、運用において生じ得る法解釈上の問題を解説するもの、さらにはより原理的に「責任」や「子どもの権利」、あるいはそもそもの「少年法の理念」という観点から問題提起をするものなど、極めて多角的に論じられています。
法制度は多かれ少なかれ一定期間における運用や実践のなかでその効果が評価されるべき性格ではあるものの、本質的な課題を等閑視しては現前する問題への弥縫策にしかなりえず、誰のため・何のための法的権利、法実践であるかを見失ってしまいます。少年法が子どもという特定の身分の者たちに対する、刑事手続き等における極めて重要な実施上の法・権利問題である以上、当該視点は特に忽せにできないといえます。子どもたちが将来の日本社会で重要な役割を演じるメンバーであるという点からも、子どもを支える大人たちの問題としても真剣に考えなければなりません。こうした実践における法学・社会科学的、実践的な問題提起や展望を提示している点で本特集は議論の下敷きと発展に大きな役割を果たすといえます。

目次
改正少年法のインパクト――特集の企画趣旨説明にかえて……武内謙治 
改正少年法について……川出敏裕 
改正少年法の運用課題――特定少年の責任という見地から……樋口亮介 
「特定少年」に対する「虞犯」規定の適用除外について……小西暁和 
改正少年法と矯正の今後――少年矯正の変質……中島 学 
特定少年の刑事事件に関する特則……本庄 武 

【書籍情報】2022年1月、日本評論社が発行する雑誌『法律時報』2022年2月号の特集。定価は2,035円(本体価格1,850円)。

 

バックナンバー
バックナンバー

〒150-0031 東京都渋谷区桜丘町17-5
TEL:03-5489-2153 Mail:info@jicl.jp
Copyright© Japan Institute of Constitutional Law. All rights reserved.
プライバシーポリシー