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浦部法穂の憲法時評

 

「9・11」


浦部法穂・法学館憲法研究所顧問
2011年9月8日

 ニューヨークの世界貿易センタービル(WTC)と米国防総省(ペンタゴン)にハイジャックされた旅客機が突っ込み、3000人近くの犠牲者を出した「米国同時多発テロ」から、10年目の「9・11」を迎える。2001年9月11日、その日私は東京出張中で、夜、用務を終えてホテルに戻ってテレビをつけたとき、WTCのツィン・タワーに飛行機が体当たりして突っ込む映像が飛び込んできた。そしてまもなく、2つの超高層ビルが、垂直方向にまさに「整然と」、一気に崩れ落ちる姿が映し出された。それは文字どおり衝撃的であり、何が起きたのか直ちには理解しがたい映像であった。だが、その日を境に、世界は大きく動いた。

 アメリカのブッシュ政権は、この「テロ」を、オサマ・ビンラディン率いる国際テロ組織「アルカイダ」の犯行であると断定し、アフガニスタンのタリバン政権がこれを支援しているとして、同年10月、アフガニスタンに対する大規模な報復攻撃を行いタリバン政権を崩壊させた。そして、イラク、イラン、北朝鮮を「テロ支援国家」と名指しし、2003年3月には、大量破壊兵器の保有を口実に、イラクに対する攻撃を国連による武力行使容認決議のないままに開始した。ブッシュ大統領(当時)は、「こっちにつくかテロリストにつくか」という「脅し文句」で、みずからの主導する「テロとの戦い」に国際社会を巻き込んだのであった。日本は、きわめて忠実に、アメリカの行動を全面的に支持し、「テロ対策特別措置法」や「イラク復興支援特別措置法」などを次々に成立させ、「対テロ戦争」に積極的に加担していった。

 だが、「9・11」については、10年経ったいまも、多くの疑念が語られている。アルカイダによる「テロ」ではなく本当はブッシュ政権(の誰か)があらかじめ仕掛けておいた爆発物とミサイルを使って仕組んだものではないか(ツィン・タワーの崩壊は飛行機の激突が原因ではない、あるいは、そもそも旅客機がWTCやペンタゴンに突っ込んだという事実はなくテレビに映されたのはCGだ)、とか、アメリカ政府は事前にこの「テロ」計画を把握していながら阻止しようとしなかったのではないか、などといった「陰謀説」がいろいろに言われている。ブッシュ政権は、軍需産業ときわめて近しい関係にあり、「9・11」以後の戦争拡大は明らかに軍需産業に利益をもたらすものであったし、イラクの大量破壊兵器保有はウソだったことが明らかになったように、ブッシュ政権がこじつけやでっち上げで強引に戦争を仕掛けていったことは、少しだけ冷静になって見れば誰にもわかることであるから、こうした「陰謀説」も荒唐無稽な話として片づけるわけにはいかないところがある。実際、ニューヨーク・タイムズが2006年10月に行った世論調査では、「9・11」について「政府が何かを隠している」と答えた人が53%、「うそをついている」と答えた人が23%にのぼったという(神戸新聞2009年9月11日朝刊=共同)。

 これだけの人が政府の説明に納得していないというのは、ブッシュ政権への不信感とともに、「陰謀説」を裏付けるような疑問点がいくつもあり、その疑問に十分答えうるような説明が政府の側からもなされていないからである。WTCツイン・タワーの崩壊は、ビルの解体工事とまったく同じような形のものであって、上層階に飛行機が突っ込んだことで、あれだけ整然とした崩壊が、しかも2つのビルでまったく同様に起こるとは考えにくいし、数時間後に、WTCの第7ビルが、飛行機が突っ込んでもいないのに同じように崩壊しているのはなぜなのか?/崩壊後のがれきが十分な検証もないままに片づけられたのは真実が明らかになることを恐れたためではないか?/ペンタゴンに突っ込んだのはボーイング757型機だということになっているが、ペンタゴンの建物にはそのような大型機が激突したような大きな破壊跡は見られないし、B-757を超低空飛行で目標に激突させるのはベテランパイロットでも至難の業で、犯人たちがそんな操縦能力をもっていたとはとうてい考えられないのではないか?/4つめのハイジャック機はペンシルベニア州に墜落したとされるが、現場で機体の残骸と思われるものがみつかっていないのはなぜなのか?/「9・11」直前の数日間に、シカゴ市場などで、「9・11」でハイジャックされることになるアメリカン航空とユナイテッド航空の株が大量に(通常の100倍も)空売りされていたのは、犯人グループだけの取引にしては大きすぎる量で、犯人グループ以外に事件の情報を事前に知りうる立場にあった者がしたことではないのか?/このインサイダー取引の疑いに関する証券取引委員会の調査があいまいなままに終わっているのも不自然ではないか? と、いわれてみればたしかに疑問だらけである。

 真偽のほどはわからない。が、こうした疑問点について、日本では、政府はもちろんマスコミも、ほとんど触れることがなく、アメリカでは半数以上の人が政府の説明に疑念を抱いているのに対し、日本では大多数の人が政府の説明をそのまま信じているように思われる。日本人は「公式見解」に弱いところがあり、したがって、「陰謀説」のような非公式見解はハナから受け付けない、という傾向があるのではないか。それは、日本のマスコミも同じで、政府その他関係機関の公式見解や公式発表をただ垂れ流すだけの報道ばかりが目につく。私たちがそれを鵜呑みにして信じ込むならば、「本当のこと」は絶対に知らされることがないであろう。政府の説明やマスコミ報道を疑ってかかることが、私たち自身を守るためにも必要なことではないかと思う。「9・11」では3000人近くの人が犠牲になった。それへの報復としてアメリカが行った「対テロ戦争」では、その倍の6000人ほどのアメリカ兵が戦死しており、アフガニスタンとイラクでの民間人の死者は実に17万人以上、戦闘員も含めた全体では25万人以上の死者が出たという。もちろん、数の大小が問題なのではないが、はたしてこのような戦争に正義はあるのであろうか。それこそが根本的に問われるべき点であり、「公式見解」だけを鵜呑みにすることは絶対にできない問題である。

 さて、今年の「9・11」は、「3・11」大震災からちょうど半年の節目でもある。「3・11」に関しても、とくに福島第一原発の事故についての政府・東電の説明やマスコミ報道は、どこまで本当のことを言っているのか、疑わしい部分がある。この事故による放射能汚染は、私たちが政府やマスコミから聞いている以上に深刻なものだという外国メディアの報道もある。「公式見解」だけを鵜呑みにせず真実を追求することが自分自身のためでもある、ということを、私たちはいま、身をもって思い知らされているといえよう。




 

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